を着た若い人が宿まで送つてくれた、彼に幸福あれ。
藷焼酎の臭気はなか/\とれないが、その臭気をとると、同時に辛味もなくなるさうな、臭ければこそ酔ふのだらうよ。
世を捨てゝ山に入るとも味噌醤油酒の通ひ路なくてかなはじ、といふ狂歌(?)を読んだ、山に入つても、雲のかなたにも浮世があるといふ意味の短歌を読んだこともある、こゝも山里塵多しと語[#「と語」に「マヽ」の注記]句も覚えてゐる、田の草をとればそのまゝ肥料《コヤシ》かな――煩悩即菩提、生死去来真実人、さてもおもろい人生人生。
夕方また気分が憂欝になり、感傷的にさへなつた、そこで飛び出して飲み歩いたのだが、コーヒー一杯、ビール一本、鮨一皿、蕎麦一椀、朝日一袋、一切合財で一円四十銭、これで懐はまた秋風落寞、さつぱりしすぎたかな(追記)。

 十月十三日[#「十月十三日」に二重傍線] 晴、休養、宿は同前。

とても行乞なんか出来さうもないので、寝ころんで読書する、うれしい一日だつた、のんきな一日だつた。
一日の憂は一日にて足れり――キリストの此言葉はありがたい、今日泊つて食べるだけのゲルトさへあれば(慾には少し飲むだけのゲルトを加へていたゞい
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