といふところは海水浴場としてよいらしかつた、別荘風の料理屋もあつた、浅酌低唱味を思ひ出させるに十分だ。
自動車が走る、箱馬車が通る、私が歩く。
途上、道のりを訊ねたり、此地方の事情を教へてくれた娘さんはいゝ女性だつた、禅宗――しかも曹洞宗――の寺の秘蔵子と知つて、一層うれしかつた、彼女にまことの愛人あれ。
草鞋がないのには困つたが、それでもおせつたいとしていたゞいたり、明月に供へるのを貰つたりして、どうやらかうやらあまり草履をべた/\ふまないですんだ、私も草鞋の句はだいぶ作つたが、ほんたうの草鞋の名句が出来さうなものだ。
同室三人、松葉ヱツキス売の若い鮮人は好きだつたが、もう一人は要領を得ない『山芋掘』で、うるさいから、街へ出て飲む、そしてイモシヨウチユウの功徳でぐつすり寝ることが出来た。
十月十一日[#「十月十一日」に二重傍線] 晴、曇、志布志町行乞、宿は同前。
九時から十一時まで行乞、こんなに早う止めるつもりではなかつたけれど、巡査にやかましくいはれたので、裏町へ出て、駅で新聞を読んで戻つて来たのである(だいたい鹿児島県は行乞、押売、すべての見[#「見」に「マヽ」の注記]師の
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