ぶんに多いと見えて、そこには二三十軒の宿屋、飲食店、土産物店が並んでゐた、かういふ場所には地方的特色が可なり濃厚に出てゐる。
同室三人、箒屋といふむつつり爺さん、馬具屋といふきよろきよろ兄さん、彼等にも亦、地方的特色が表現されてゐる。

 十月十日[#「十月十日」に二重傍線] 曇、福島町行乞、行程四里、志布志町、鹿児島屋(四〇・上)

八時過ぎてから中町行乞二時間、それから今町行乞三時間、もう二時近くなつたので志布志へ急ぐ、三里を二時間あまりで歩いた、それは外でもない、局留の郵便物を受取るためである、友はなつかしい、友のたよりはなつかしい。
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 旅の子供は夕べしく/\泣いてゐる
 旅はおかしい朝から夫婦喧嘩だ
・親によう似た仔馬かあいやついてゆく
 みんな寝てしまつてよい月夜かな
・月夜の豚がうめきつゞけてゐる
 月光あまねくほしいまゝなる虫の夜だ
 月の水をくみあげて飲み足つた
 明月の戸をかたくとざして
 故郷の人とはなしたのも夢か
 伸ばした足に触れた隣りは四国の人
 秋の白壁を高う/\塗りあげる
 松葉ちりしいてゐますお休みなさい
・松風ふいて墓ばかり
 
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