る、青柳といへば、昔、昔、その昔、KさんやSさんといつしよにムチヤクチヤ遊びをやつた時代が恋ひしくなる。
こゝの枕はめづらしくも坊主枕だ、茣蓙枕には閉口する、あの殺風景な、実用一点張の、堅い枕は旅人をして旅のあはれを感ぜしめずにはおかない、坊主枕はやさしくふつくらとして、あたゝかいねむりをめぐんでくれる。
宮崎の人々は不深切といふよりも無愛想らしい、道のりのことをたづねても、教へてくれるといふよりも知らん顔をしてゐる、頭もよくないらしい(宮崎の人々にかぎらず、だいたい田舎者は数理観念に乏しい)、一里と二里とを同一の言葉で現はしてゐる、腹を立てるよりも苦笑すべきだらう。

 十月三日[#「十月三日」に二重傍線] 晴、飫肥町、橋本屋(三五・中)

すこし寝苦しかつた、夜の明けきらないうちに眼がさめて読書する、一室一燈占有のおかげである、八時出立、右に山、左に海、昨日の風景のつゞきを鑑賞しつゝ、そしてところ/″\行乞しつゝ風田といふ里まで、そこから右折して、小さい峠を二つ越してこゝ飫肥の町へついたのは二時だつた、途中道連れになつた同県の同行といつしよに宿をとつた。
此宿の老主人から、米を渡す
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