炭坑夫などのドマグレで、からだには鯨青のあとがある手合だらう――酔ひしれて、宿のものを手古摺らし同宿人の眉を顰めさせてゐる、此地方では酔うて管を巻くことを山芋を掘るといふ、これも面白い言葉である。
言葉といへば此辺の言葉はアクセントが何だか妙で、私には解らないことが多い、言葉の解らない寂しさ、それも旅人のやるせなさの一つである。

 九月三十日[#「九月三十日」に二重傍線] 秋晴申分なし、折生迫、角屋(旅館・中)

いよ/\出立した、市街を後にして田園に踏み入つて、何となくホツとした気持になる、山が水が、そして友が私を慰めいたはり救ひ助けてくれる。
こゝまで四里の道すがら行乞したが、すつかり労れてしまつた、おまけにボクチンに泊りそこなつて(あのボクチンのマダムは何といふ無智無愛嬌だつたらう)旅館に泊つた、一室一燈を占有して、のんびりと読んだり書いたりする、この安らかさは、二十銭三十銭には代へられない、此宿はかなり広い家だが、お客さんとしては私一人だ、主人公も家内もみな好人物だけれど、不景気風に吹きまくられてゐるらしい。
青島を見物した、檳榔樹が何となく弱々しく、そして浜万年青がいかにも
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