、下駄、殊に足駄穿きには降参降参)、足が腫れて、足袋のコハゼがはまらないやうになつた、しかし、それもぢきよくなるだらう。
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・師走のポストぶつ倒れゐた[#「ゐた」に「マヽ」の注記]
自分の家を行きすぎてゐたのか
タドンあたゝかく待つてゐてくれた
夜ふけてさみしい夫婦喧嘩だ
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附記、昨日Iさんを訪ねたが会へなかつた(先日も訪ねたが、さうだつた)、多分居留守をつかつてゐるらしい、Iさんは私と彼女との間を調停してくれた人、私がこんなになつたから腹を立てゝ愛想をつかして、面会謝絶と出たのかも知れない、子供は正直だから取次に出た子供の様子で、そんなやうに感じた、――とにもかくにも、それでは、Iさんはあまりに一本気だ、人間を知らない、――私はIさんのために、居留守が私の僻みであることを祈る、Iさんだつて俗物だ、俗物中の最も悪い俗物だ、プチブル意識の外には何物も持つてゐない存在物だから。
底本:「山頭火全集 第三巻」春陽堂書店
1986(昭和61)年5月25日第1刷発行
1989(平成元)年3月20日第4刷
※底本は、物を数える際
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