頼んで置きたいことがある。それは、若しも何かの間違で[#「何かの間違で」に白三角傍点]、諸君が右の頬を打たれなすったとき[#「諸君が右の頬を打たれなすったとき」に白三角傍点](或は接吻せられることもあろう[#「或は接吻せられることもあろう」に白三角傍点])左の頬を出されないまでも[#「左の頬を出されないまでも」に白三角傍点]、じっと堪忍して[#「じっと堪忍して」に白三角傍点]、願わくならば微笑でもしていて下るほどの雅量を持っていて欲しいということです[#「願わくならば微笑でもしていて下るほどの雅量を持っていて欲しいということです」に白三角傍点]。小供のするような無邪気な喧嘩ならば面白いけれど、大供のする睨合には感心しません――
△兎に角、こう早く本社が成り立ったのは嬉しかった。私はエムファサイズする。今朝、本集を手にしたとき、胸がどきどきした。初めて熱い恋を囁かれた少女のように。……笑ってはいけません。私は妻も子もある三十男ですからね! 諸君、可愛くなりませんか※[#感嘆符三つ、53−3]
△本集は『春愁』『若き悲しみ』またはハイカって(少々嫌味はあるが)『二十歳《ハタチ》の峠へ、三十
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