鎖ペンを握って
――三月十九日夜―― 山頭火
種田山頭火
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)二十歳《ハタチ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符三つ、53−3]
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[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
△春と共に白楊社が生れた。あのポプラ若葉のようにすくすくと伸びゆけよと祈る。
△会名の『白楊社』は可い。(たしか二三年前に東京郊外在住の画家連中が同名の会合を組織していたと思う。今では解散したらしい)『四十女の恋』は本集の内容にふさわしくない。次号からはもっと適切な名をつけて欲しい。
△勝手な文句は並べるものの、私は不泣君の労に対しては最大級の感謝を捧げます。
△編輯は順番に為ることにしたい[#「編輯は順番に為ることにしたい」に白三角傍点]。各地各人の気分が出て面白かろうと思う。
△歌の数は最近作十首内外ということにしたい[#「歌の数は最近作十首内外ということにしたい」に白三角傍点]。それでないと、一人で二百首も三百首も出されたとき、編輯者が困る。そして十首内外ならば、ほぼ、或る纏った気分を現わすことも出来ようし、また最近作として置けば季を限る必要はない。
△歌集留置期限はまあ二三日ということにしてはどうだろう[#「歌集留置期限はまあ二三日ということにしてはどうだろう」に白三角傍点]。二回まわすのだから、その位の日数にしておけばどんな忙しい人でも充分通読することが出来るだろうと思う。
△互選はせぬ方がいいらしい[#「互選はせぬ方がいいらしい」に白三角傍点]。その代りに読後の感想をなるたけ正直に[#「その代りに読後の感想をなるたけ正直に」に白三角傍点]、なるたけ詳細に書いて貰いたい[#「なるたけ詳細に書いて貰いたい」に白三角傍点]。
△申合は此位にして置きたい。此以上呶々すると面白くなくなる。それから先の事は自己の芸術的良心に従って行えば可い[#「自己の芸術的良心に従って行えば可い」に白三角傍点]。それで腹を立てたり拗ねたり泣き出したりするような人は野暮だ[#「それで腹を立てたり拗ねたり泣き出したりするような人は野暮だ」に白三角傍点]。
△ただ一つ、もう一つ、私として――無遠慮な、ぐうたら男の私として、予じめ
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