ぐさめであり力である。
しかし、私にはまだ自選の自信がなかったので、すまないとは思いながら、井師に厳選をお願いした、師が快く多忙な貴重な時間を割いて、何から何まで行き届いたお心づかいに対しては、まことに何ともお礼の申しあげようがない。
句集出版については北朗兄を煩わした。まだ一面の識もない私に示された好意と斡旋とは永久に忘れることがないであろう。
そしてさらに、後援会の事務一切を一身に引き受けて、面倒至極な事務をあんなに手際よく取り捌いて下さった酒壺洞兄に心からの謝意を表することを忘れてはならない。
緑平老、白船老の厚情については説くまでもあるまいが、元寛兄、俊兄、星城子兄、入雲洞兄、樹明兄、敬治兄等の並々ならぬ友誼については、ここで感謝の一念を書き添えずにはいられない。
こうして、身にあまる恩恵につつまれつつ、私は東漂西泊した。鉢の子という題名は私の句集にふさわしいものであった。一鉢千家飯、自然が人が友が私に米塩と寝床とをめぐんだ。
庵居の場所を探ねるにあたって、私は二つの我儘な望みを持っていた。それが山村であること、そして水のよいところか、または温泉地であることであ
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