い感じは過ぎ去つて了つてゐた。否、いつの間にか時も過ぎて、卓《テーブル》の上の時計の針は既に十一時に近いところをさしてゐた。それにしても、何といふ恋のパラダイスだらう。ホテルの三階の一室は、今夜に限つて、深夜の闇の中にくつきりとその明るい窓を際立たせてゐた。空には星が燦爛として輝いた。
底本:「定本 花袋全集 第二十一巻」臨川書店
1995(平成7)年1月10日発行
底本の親本:「アカシヤ」聚芳閣
1925(大正14)年11月10日発行
初出:「現代 第六巻第一号」実業之日本社
1925(大正14)年1月1日発行
入力:tatsuki
校正:林 幸雄
2009年4月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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