》の中にあゆを入れて煮えたら頭を持って箸で肉をこそげ落とし骨をぬき棄《す》てる。
*たくさんあって焼いたり保存したり、焼きざましになったものは焼き豆腐と煮ると美味。
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       握り鮨《ずし》

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*握り鮨は男子の食べるもので婦女子向きではない。なぜなら、ひと口に食べてうまいものでそれを二つ箸で割ったり、まぐろを別にはがしたりしては鮨の美味は味わえぬ。
*まぐろのとろ[#「とろ」に傍点]、てっか巻きなどはしょうがを載せて食え。まぐろは酢に好適のものなれども少しくさい点がある。これをおぎなうのがしょうが。
*小あじは皮付きの方がうまい。しかし適当に塩や酢が回らないとなまぐさい。たいがいは皮剥《かわはぎ》。
*わたしの嗜好《しこう》からいうと赤貝か赤貝のヒモが一等いい。
*のり巻きはしっとりしめったのはまずい。のりが乾燥してカサカサしているうちに食べないとまずい。立ち食い以外はのり巻きは食えぬ。
*あなごに、赤貝は一個十五銭以上のものを食え。もともと原料の高価なもの。安いものは場違いの味のまずいもの。
*えび、玉子焼
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