入れる。温まった程度でよい。煮過ぎるとなめこの癖《くせ》が出て食べられない。茶碗に六、七分目取り、餡《あん》かけ饂飩《うどん》の餡で、人の知る餡を別に拵えてかけて食べる。なかなかしゃれたもので、ぜいたく者ほど喜んでくれるもの。餡の上にすりしょうが一つまみ添えて出すことを忘れてはならない。

蟹《かに》雑炊
 ずわいがにでも、わたりがにでもなにがにでもよいから、新鮮なかにの肉だけをむしり取り、これも粥がほぼ出来上がったところへ入れる。かにの身は粥の五分の一くらい、刻《きざ》みしょうがを加えれば、香気をよくする。缶詰のかにならばよく水をしぼって用いるとよい。缶詰|臭《くさ》いのは、しょうがを心してよけいに入れれば、ある程度までは防ぐことができるものである。これも餡をたっぷりかけて出すのが一番よろしい。

焼き魚の雑炊
 雑炊に禁物なのは、生臭《なまぐさ》いことである。ゆえに生魚で作ることは考えものである。焼き魚であればたい、はも、はぜ、きすなどは最上である。さば、ぶり、いわしなどは臭気があって適材とは申されない。
 概《がい》して、たいのような赤色皮の魚がよい。青黒色の魚はなんであっても感
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