ぶた肉の雑炊も同断。ただし、うさぎ肉はなんとしてもうまくない。

鳥肉雑炊《とりぞうすい》
 料理屋では、うずらをもって自慢気に作る習慣がある。蓋《けだ》し、うずらが一番美味であるからである。しかし、つぐみ、山鳥類、小鳥類、なんであっても、同じ用途として効果がある。それぞれ味に良否の区別はあるが、大同小異《だいどうしょうい》と知っておいてまちがいはない。ミンチにかけるなどの方法で肉を細かくし、これを米といっしょにお粥《かゆ》に煮て、出し汁をかけて食べるのも一方法であり、また、一法としては、微塵《みじん》肉にした鳥を、味付け煮にして、出来上がったお粥の中へ加えて、攪拌《かくはん》し、すりしょうがを加えて食べるのもよい。なんにしても、フーフー吹きながら食べるまでに、熱くなくてはうまくないことを、ぜひ心得ておくことが肝要。肉雑炊の冷えたのなどは、頼まれても食えるものではないからである。

なめこ雑炊
 なめこは缶詰でよいから、缶から出したらザッと水洗いする。
 缶六、七十銭のものを五人前に使えば適宜《てきぎ》といえよう。やはり、これも薄味付けしたお粥を拵《こしら》えて、できた粥の中へなめこを
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