しい雑炊なのである。
塩加減で食べてもうまく、そば出し汁程度の出汁《だし》、あるいは味噌汁《みそしる》をかけて食べるのもよい。これに納豆を加えると、さらにうまい。焼きのり、炒《い》りごま、七味《しちみ》、薬味ねぎなどを、好みに応じて加えれば申し分なしといえる。
猪肉《いのしし》雑炊
これもまずお粥を拵えることである。いのししの肉は牛肉や鶏のように大《たい》してうまい味があるというものではないから、白色の脂身《あぶらみ》が入用《いりよう》である。白い脂身と赤い肉と混ざったものを細かに切り、皮山椒《かわざんしょう》を少々加えて、別の鍋《なべ》に淡泊な味付けで汁たくさんに煮る。これに生《なま》の薬味ねぎを加えてお粥と混ぜ合わせ、すぐに食べることである。混ぜ合わせて、再び煮返えすと、その味はあくどくなる。いのしし肉の分量は、粥の六分の一ほどでよい。だいこんを千切りにしたものを、いのしし肉といっしょに煮て加えることは、だいこんなしから見れば上々吉、しいたけをきざみ込むのもよい。
そのかわり、夜食にこれで満腹すると、その夜は暖まり過ぎて寝られない。このこと御用心、御用心。しか肉雑炊も同断、
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