こと。その程度の煮加減を選ぶがよく、とにかく、熱いのを吹き吹き食う妙味は、初春の楽しみの一つである。
納豆雑炊《なっとうぞうすい》
納豆が嫌いとあっては話にならないが、納豆好きだとすれば、こんなに簡単に、こんなに調子の高い、こんなに廉価《れんか》な雑炊はないといったくらいのものである。これも前と同じく、お粥《かゆ》を拵《こしら》えて、粥の量の四分の一か五分の一の納豆を加え、五分もしたら火からおろせばよい。納豆はそのまま混ぜてもよいが、普通に納豆を食べる場合と同じように、醤油《しょうゆ》、辛子《からし》、ねぎの薬味《やくみ》切を加えて、充分|粘《ねば》るまでかき混ぜたものを入れるとよい。雑炊の上から煎茶《せんちゃ》のうまいのをかけて食べるのもよい。通人《つうじん》の仕事である。水戸《みと》方面の小粒納豆があれば、さらに申し分ないが、普通の納豆でも結構いただけることを、私は太鼓判《たいこばん》を捺《お》して保証する。
餅《もち》雑炊
餅の雑炊は、正月の餅のかけら、鏡餅のかけらなどを適宜《てきぎ》に入れてお粥を煮ることである。出来たお粥に焼いた餅を入れてもよい。粥と餅とのなじみがおい
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