しびまぐろのほかに、かじきまぐろ[#「かじきまぐろ」に傍点]だとか、きはだまぐろ[#「きはだまぐろ」に傍点]とかがある。これらを茶漬けに用いても、決して悪いものではない。しかし、きはだとか、かじきは脂肪が少ないから、脂っ濃いものを好む人たちには、ちょっと軽い感じである。老人向き、女人向きなどには、かえってこの方が適していよう。それも実験して、各自の嗜好に任せればよいと思う。

お茶漬けの作り方
 茶碗に飯《めし》を盛る時、腹の空《す》き加減にもよろうが、ぜいたくものは飯を少なく盛ることである。飯を多く盛ると、茶がたくさん入らぬ。労働者の食べる茶漬けは、飯がたくさんで茶の少ないのが美味《うま》い。だから、大き目の茶碗がよい。ぜいたく者の茶漬《ちゃづ》けは、飯《めし》が少なくて茶が多いほうが美味い。飯の多い方の茶漬けは番茶がいいが、飯の少ない方の茶漬けには煎茶《せんちゃ》を可とする。
 飯は茶碗に半分目、もしくはそれ以下に盛って、まぐろの刺身《さしみ》三切れを一枚ずつ平たく並べて載せる。それに醤油《しょうゆ》を適当にかけて加減する。大根おろしをひとつまみ、まぐろのわきに添えればなおよい
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