べきである。東京には関西のような、美味なたいがないから、なおさらである。
茶漬けの御飯
御飯の炊《た》き方がやわらかく、ベタベタするようなのは一番いけない。すしの飯《めし》の程度がいい。炊きたての御飯ではいけない。生暖かにさめた程度がいい。茶漬けにもよりけりだが、魚の茶漬けには冷飯《ひやめし》は絶対にいけない。
お茶の出し方
かける茶は番茶では美味くない。煎茶《せんちゃ》にかぎる。煎茶の香味と苦味とが入用《いりよう》である。少し濃い目の茶をかけると、調和がとれる。茶が薄くては不味《まず》い。だから、粉《こな》茶の上等がいいというわけになる。
粉茶のだし方は人も知るように、粉茶専用の小さなざるがある。これはすし屋で使っているものである。それで、すし屋の用いるように、大目ざるに一杯程度入れて水をさす。なぜなら、粉《こな》茶は茶の残りを集めたいわば茶のくずであるから、埃《ほこり》などがまじっていよう。これを洗滌《せんじょう》する意味で、ざるの中に入れた茶に水をさすと、乳白色に水がよごれてこぼれてくる。これを捨て、ざるの中の粉茶に熱湯を注《そそ》ぐ。
この場合、熱湯を少しずつ注げば
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