と思います。そのおつもりでお聞きを願います。

料理とは理《ことわり》を料《はか》ること
 料理とは食というものの理《ことわり》を料《はか》るという文字を書きますが、そこに深い意味があるように思います。ですから、合理的でなくてはなりません。ものの道理に合わないことではいけません。ものを合理的に処理することであります。割烹《かっぽう》というのは、切るとか煮るとかいうのみのことで、食物の理を料るとはいいにくい。料理というのは、どこまでも理を料ることで、不自然な無理をしてはいけないのであります。
 真に美味《おい》しい料理はどうも付焼刃《つけやきば》では出来ません。隣りの奥さんがやられるからちょっとやってみようか、ではだめであります。心から好きで、味の分る舌を持たなくては、よい料理は出来ないのであります。

料理は相手を診断せよ
 自分の料理を他人に無理|強《じ》いしてはなりません。相手をよく考慮して、あたかも医者が患者を診断して投薬するごとく、料理も相手に適するものでなくてはなりません。そこに苦心が要《い》るのです。医者が患者の容態《ようだい》が判《わか》るように、料理をする者は、相手の嗜
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