雑煮
北大路魯山人

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)贅沢《ぜいたく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)丁度|鼈甲《べっこう》
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 季節にちなんで、お雑煮の話をしたいと思う。
 いったいお雑煮は、子供の時分から食べ慣れた故郷の地方色あるやり方が、いちばん趣味的で意義がある。
 主婦の心がけ次第で、第一日は地方色豊かなお国風雑煮、二日目からは東京風の贅沢《ぜいたく》な、賑《にぎ》わいのある楽しいもの、というようにすれば、家族に喜ばれること請け合いだ。
 かといって、強いてそうせねばならぬという理由はないのだから、各自の好みに任せてよい、とまずご承知おき願いたい。
 わたしの経験からいうと、雑煮の中を賑々しくするためには、にんじんとか、だいこん、いもなどを入れる方がよいだろう。いもなども、原形のままの方が野趣があっておもしろい。なにか変わった趣を添えたいような場合には、いもに角目《かどめ》を立てて削るのも悪くない。が、あまり細工をせずに作る方がよいと思う。
 だしは普通のかつおぶしだけでとるか、あるいは昆布だしにするのもよろしい。また
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