現代茶人批判
北大路魯山人
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)諭《さと》さん
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)松永|耳庵《じあん》
−−
『陶』の紙上で、現代の茶道人として名のある松永|耳庵《じあん》さんは、作陶家に諭《さと》さんその心として、汝《なんじ》らはすべからく茶を知れ、そして茶家の指導を受けよ、しからざれば茶器は生まれないぞ……と垂教された。
日頃、茶に親しまれている人として、かつ茶器の蒐集《しゅうしゅう》に耽りつつある人として、さまざまと茶の議論をも立ててきた人だけに、作陶家よ茶を知れと叫ばれることは至極もっともな親切な言葉として、作家でなくも誰しも一通りはうなずきも出来、敬服も出来るところである。が、しかし欲をいうと、私は知人の松永さんのことだけに、今一歩を進めて一思案しなおしてもらうわけにはゆかないものであろうかと考えるのである。この今一歩こそ初めて命を生むのではないかと思うからである。松永さんが狙いをつけているところの名茶碗、それは確かに芸術的生命をもつところの名作のことであろう。それあればこそ、今日まで名器として
次へ
全19ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北大路 魯山人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング