河豚は毒魚か
北大路魯山人
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)美味《うま》さ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一番|美味《うま》い
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
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ふぐの美味《うま》さというものは実に断然たるものだ――と、私はいい切る。これを他に比せんとしても、これに優《まさ》る何物をも発見し得ないからだ。
ふぐの美味さというものは、明石《あかし》だいが美味いの、ビフテキが美味いのという問題とは、てんで問題がちがう。調子の高いなまこやこのわたをもってきても駄目《だめ》だ。すっぽんはどうだといってみても問題がちがう。フランスの鵞鳥《がちょう》の肝《きも》だろうが、蝸牛《かたつむり》だろうが、比較にならない。もとよりてんぷら、うなぎ、すしなど問題ではない。
無理かも知れぬが、試みに画家に例えるならば、栖鳳《せいほう》や大観《たいかん》の美味さではない。靫彦《ゆきひこ》、古径《こけい》でもない。芳崖《ほうがい》、雅邦《がほう》でもない。崋山《かざん》、竹田《ちくでん》、木米《
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