いなせな縞の初鰹
北大路魯山人
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)初鰹《はつがつお》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)鎌倉|小坪《こつぼ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
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鎌倉を生きて出でけん初鰹《はつがつお》 芭蕉《ばしょう》
目には青葉《あおば》山ほととぎすはつ鰹 素堂《そどう》
[#ここで字下げ終わり]
初がつおが出だしたと聞いては、江戸っ子など、もう矢も楯《たて》もたまらずやりくり算段……、いや借金してまで、その生きのいいところをさっとおろして、なにはさておき、まず一杯という段取りに出ないではいられなかったらしく、未だに葉桜《はざくら》ごろの人の頭にピンと来るものがある。ところで初がつおというもの、いったいそんなにまで騒ぎたてられるゆえんはなにか。前掲の句の作者は元禄《げんろく》時代の人だから、その時代に江戸っ子が初がつおを珍重《ちんちょう》したのはうかがえるが、今日これは通用しない。
「鎌倉を生きて出でけん」と想像しつつ当年の江戸で歓迎され
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