《ふもと》に――父親の眠っている墓の傍らに、一時仮埋葬をすることにしたというのです。が、その後何日かたって、水番の六蔵と馬丁《べっとう》の福次郎が来て……。
「そうさ……あれはいつ頃じゃったっけなア……何でも二十日《はつか》ばかり過ぎた時分じゃ、なかったけがと思うでやすが」
 と、石屋は頻りに思い出そうとしているのです。
 水番の六蔵と、馬丁《べっとう》の福次郎とが来て、
「お嬢様たちはいつもわたしたちはあすこが一番好きだから、死んだらあすこへ埋めてもらうのよ! と口癖のようにいってなさっただから、今度警察の許可を貰《もろ》うて、葬《とむ》れえ直すことにしただ。済まねえが一つ墓を彫ってくんどという頼みでやしたから、わっしが字を彫ったでがす……」
「その伊手市《いでいち》どんの彫った墓が、旦那《だんな》様がお逢《あ》いになったというあの笹目沢と赤名山との間の、栃《とち》の木《き》の下の分れ道になってるところを、何でも十二、三町ばかり下《さが》っていった原っぱに、建ってるんだそうでして……私はいって見たこたアございませんが、松の木が二、三本|生《は》えてる根っ子で、えらく景色のいいところだ
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