《かみ》さんまでが、いつの間にか、はいり込んで来て、恐ろしそうに肩をすくめているのです。ハハア、さっき障子の陰で聞き耳を立てていたのは、この女だなと気が付きました。
「石橋様のお嬢様がお亡くなりになったチュウことを、旦那様はなかなかふんとうになさらねえということでやすが」と、その伊手市どんという男が話し出しました。
「藤《とう》どんのいうこたア、確かにふんとうの話でやすで……」
 藤どんというのが、亭主の名前でしょう。
「水番の六蔵どんや、馬丁《べっとう》の福次郎どんに頼まれて、わしが現にこの手でお嬢様たちのお墓を刻んだでやして……」
 重い口でポツリポツリと話し出しました。もう姉妹《きょうだい》の死を疑うところはありません。いいえ、疑わぬどころか! 凄惨《せいさん》とも、陰惨とも、申訳ないとも、気の毒とも……聞いているうちに私は、何ともかともいおうようのない気がしてきたのです。
 この男たちが、自分自身見たのではありませんから、痒《かゆ》いところへ手の届くようなというわけにはゆきませんが、ともかく村の噂《うわさ》によると、石橋様のお邸《やしき》は、何でも去年の九月頃とかに火を出して、
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