れば、家来もまた家来……主人を嵩《かさ》に着た家来たちのために、到頭|高手《たかて》小手《こて》に締め上げられてしまいました。
「殴《なぐ》ったり蹴《け》ったり、散々に責め嘖《さいな》んだ挙句、あろうことかあるまいことか! しまいには、その坊さんにね、此奴《こやつ》が腰元をそそのかして、主人の家の金を持って逃げようと企《たくら》んだなぞと濡《ぬ》れ衣《ぎぬ》を着せて、殺してしまったんだよ。おまけに、酷《むご》いことをしたんだよ。ほら、お祖母さんが一人で行ってはいけないよと、口癖のように言っている池があるだろう? あの池の回りにね、昔はお仕置き場があったんだが、そのお仕置き場の回りにぐるっと竹矢来《たけやらい》を結って……」
何月何日には見せしめのために、火焙《ひあぶ》りの刑を処すると、近郷近在に触れを回しました。そして大勢見物人たちの犇《ひし》めいている中で……、
「高手小手に締められた坊さんの回りに、山ほど薪《まき》を積み上げて、生きながらの火焙りにしてしまったんだよ。薪から着物に火が燃え移って、ジリジリジリジリと身体の膏《あぶら》が燃え出す。七転八倒の苦しみをして、『己れ棚田大膳
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