穂高岳槍ヶ岳縦走記
鵜殿正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)方《あた》り
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)都合上|島々《しましま》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「戸の旧字+炯のつくり」、第3水準1−84−68]
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一 神秘の霊峰
信飛の国界に方《あた》りて、御嶽《おんたけ》・乗鞍・穂高・槍の四喬岳のある事は、何人《なんぴと》も首肯《しゅこう》する処《ところ》、だが槍・穂高間には、なお一万尺以上の高峰が沢山群立している、という事を知っている者は稀《まれ》である。で折もあらばこの神秘の霊域を探検して世に紹介しようと思うていた。幸い四十二年八月十二日正午、上高地《かみぐち》の仙境に入門するの栄を得た。
当時、この連峰の消息を知っている案内者は、嘉門次《かもんじ》父子の他にはあるまいと思って、温泉の主人に尋ねると皆おらぬ、丁度そこに類蔵がいたので話して見たが、通れぬという。三時頃嘉門次の伜《せがれ》嘉与吉
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