てあがった。
茶を出しに来たおかみさんと妻は普通の挨拶はしたが、おかみさんは初めから何だか済まないというような顔つきをしていた。それが下りて行くと、妻はそとへも聴えるような甲高《かんだか》な声で、なお罵詈罵倒《ばりばとう》を絶たなかった。
「あなたは色気狂《いろきちが》いになったのですか?――性根が抜けたんですか?――うちを忘れたんですか? お父さんが大変おこってらッしゃるのを知らないでしょう?――」
「………」僕は苦笑しているほかなかった。
「こんな児があっても」と、かの女は抱き児が泣き出したのをわざとほうり出すように僕の前に置き、
「可愛くなけりゃア、捨てるなり、どうなりおしなさい!」
「………」これまで自分の子を抱いたことのない僕だが、あまりおぎゃアおぎゃア泣いてるので手に取りあげては見たが、間が悪くッて、あやしたりすかしたりする気になれなかった。
「子どもは子どもで、乳でも飲ましてやれ」と、無理に手渡しした。
「ほんとに、ほんとに、どんな悪魔がついたのだろう、人にこう心配ばかしさして」と、妻は僕の顔を睨《にら》む権利でもあるように、睨みつけている。
僕も、――今まで夢中にな
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