僕の寝ころんでいる胸の上に自分の肩までもからだをもたせかけて、頸を一音ずつに動かしながら、「め――か――け」
 十二時まで、僕らはぐずついていたら、お貞が出て来て、もう、時間だから、引きあげてくれろという頼みであった。僕は、立ちあがると、あたまがぐらぐらッとして、足がひょろついた。
 あぶないと思ったからでもあろう、吉弥が僕を僕の門口《かどくち》まで送って来た。月のいい地上の空に、僕らが二つの影を投げていたのをおぼえている。

     一九

 返事を促しておいた劇場の友人から、一座のおもな一人には話しておいた、その他のことは僕の帰京後にしようと、ようやく言ってよこした。これを吉弥に報告すると、かの女はきまりが悪いと言う。なぜかとよくよく聴いて見ると、もしその一座にはいれるとしたら、数年前に東京で買われたなじみが、その時とは違って、そこの立派な立て女形《おやま》になっているということが分った。よくよく興ざめて来る芸者ではある。
 それに、最も肝心な先輩の返事が全く面白くなかった。女優に仕立てるには年が行き過ぎているし、一度芸者をしたものには、到底、舞台上の練習の困難に堪える気力がなか
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