、若し四斗樽の樣な肺を以つて居る人種が出來たら、現在の人間の平均の肺量では引けない長音を四分の一音符に定めると同樣、大天才があつたら、この刹那を根底から左右することが出來るのだ。流轉とは刹那の起滅を見たので、運命とは之が連續を觀じたのである[#「流轉とは刹那の起滅を見たので、運命とは之が連續を觀じたのである」に傍点]。この起滅と連續との間に表象的活現を爲す悲痛の靈を抽くのが、新悲劇の骨髄である[#「この起滅と連續との」〜「骨髄である」に白丸傍点]。かうなると、運命劇と稱せられるメーテルリンクの戯曲などは、たゞその一方面を描寫して居るに過ぎない。全體、運命劇なるものは、之と對峙して居る性格劇が、性格なる形式を作つて、それに立て籠ると同樣、運命なるものを何だか不可抗な力と見て、神とかエネルギーとかいふ樣な存在物と同樣な物を暗示するのであつて、いまだ徹底した作劇法に合つて居るとは云へないのは、性格劇と同じである。メーテルリンクに表はれて居る運命にでも、一種の形式臭いところがある。運命に由つて居るのは、かの暗算家が數を計へて居る間の生命であつて、大天才はたゞ一刹那を宇宙全體に擴張して示めすこと
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