大きな怪物
平井金三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)変化《へんげ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|怪物《ばけもの》になる
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 妖怪とか変化《へんげ》とか、生霊とか死霊とか種々《いろいろ》な怪物《ばけもの》に就《つい》ては度々《たびたび》前に話をしたり書いたりしたから改めて申すまでも無かろうから今度は少し変った筋の話をする事にする。
 一体《いったい》怪物《ばけもの》と云えば不思議なもので世間にあまり類と真似の無いもののようだが、よく考えてみるとこの世の中にありとあらゆるものは皆|怪物《ばけもの》になる、ただ私達の眼が慣れっこになったので怪物《ばけもの》に見えなくなってしまったのに過ぎない。それが証拠には火鉢の中にある火を御覧なさい、これが第一|怪物《ばけもの》である、黒くなっているうちは弄《いじ》っても熱くないが火になって赤くなれば触ることさえ出来ない、科学者に云わせると分子の運動とか何だとか理窟《りくつ》を附けるがよく考えれば不思議なもので確かに怪物《ばけもの》である、庭に咲いている菊の花を嗅《か》いでみるといい芳香《
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