まだ生きてゐる
まだくたばつてはしまはなかつた
自分はへとへとに疲れてゐる
ゆるしておくれ
ゆるしてくれるか
神も世界もあつたものか
靈魂《たましひ》もかね[#「かね」に傍点]もほまれ[#「ほまれ」に傍点]もあつたものか
此の疲れやうは
まるでとろけてでもしまひさうだ
とろけてしまへ

何だその物凄いほど蒼白い顏は
だが實際、うつくしい目だ
此の頸にながながと蛇のやうにからみついたその腕は
ああゆるしておくれ
そして何にも言はずに寢かしておくれ
私はへとへとにつかれてゐる

なんにもきいてくれるな
こんやは
あしたの朝までは
そつと豚のやうに寢かしておいておくれ
とは言へあの泥水はうまかつた
それに自分は醉つぱらつてゐるんだ
此の言葉は正しい
此のていたらくで知るがいい

而も自分は猶、生きようとしてゐる
自分の顏へ自分の唾のはきかけられぬ此のくやしさ
ああおそろしい
ああ睡い
そつと此のまま寢かしておくれ

だがこんなことが一體、世界にあり得るものか
自分は自分を疑ふのだ
自分は自分をさはつてみた
そして抓つて撲《なぐ》つてかじつてみた
確に自分だ
ああおそろしい

自分は事實を否定
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