いらのことをする
かうしてたがひに生きてゆくんだ
おてんたうさま
ああ、けふといふけふの此の幸福
何といふ大きな蒼天《あをぞら》でせう
そしておいらがうたひだすと
耳をぴんとつつ立てて
ばかに鼻息あらあらしく
犁をもつ手もあぶないほど
おいらの馬はすこし元氣になりすぎます
人間の詩
ぼくは人間がすきだ
人間であれ
それでいい
それだけでいい
いいではないか
ぼくは人間が好きだ
人間であれ
此の目
此の耳
此の口
此の鼻
此の手と足と
何といはうか此の立派さ
頭上《づじやう》に大きな蒼天をいただき
二本の脚で大地をふみしめ
樹木のやうにその上につつ立つ人間
牛のやうな歩行者
蜻蛉《とんぼ》のやうな空中の滑走者
此の人間をおもへ
此の世のはじめ
まだ創造のあしたであつた時を想像してみろ
そこに何があつたか
茫漠としてはてなき荒野
おなじやうな其上の空
その空の太陽
それをみつけたのは人間だ
みんな人間が發見《みつ》けたのだ
みんな人間のものだ
翼あるもの
鰭あるもの
すべての匍ふもの
すべての草木
すべてのものを愛し
すべてのものに美《よ》き名をあたへた人間
一切の價値
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