もちやで
立派に耕作《つく》つてくらさねばなんねえ
われあ大《でけ》え男になつた
そこらの尼つ子がふりけえつてみるほどいい若衆《わけえしゆ》になつた
おいらはそれを思ふとうれしくてなんねえ
しつかりやつてくれよ
もうおいらの役はすつかりすんだやうなもんだが
おいらはおいらの蒔きつけた種子《たね》がどんなに芽ぶくか
それが唯《たつた》一つの氣がかりだ
それをみてからだ
それをみねえうちは誰がなんと言はうと
決して此の目をつぶるもんでねえだ
よい日の詩
どこをみても木木の芽は赤らみ
すつかり赤らみ
枯葉の下から草も青青と
そしてしつとり濡れた木の下枝では
どこからともなく集つてきた鶸やのじこ[#「のじこ」に傍点]が囀つてゐる
何といふ善い日であらう
友達の花嫁のまめまめしい働きぶりをみてきた私の目のかわゆらしさよ
何がそんなにうれしいのか
お太陽樣《てんたうさま》もみていらつしやる通り
此の山みちで
私はすこし醉つてをります
朝朝のスープ
其頃の自分はよほど衰弱してゐた
なにをするのも物倦く
なにをしてもたのしくなく
家の内の日日に重苦しい空氣は子どもの顏色をまで憂鬱にして
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