「それじや矢張《やつぱ》り、横《よこ》だあ」
蛙
お池《いけ》のきれいな藻《も》の中《なか》へ、女蛙《をんなかへる》が子《こ》をうみました。男蛙《をとこかへる》がそれをみて、俺《おれ》のかかあ[#「かかあ」に傍点]は水晶《すいしやう》の玉《たま》をうんだと躍《おど》り上《あが》つて喜《よろこ》びました。
それがだんだんかわつて尾《を》が出《で》てきました。おたまじやくしになつたのです。男蛙《をとこかへる》はそれをみると氣狂《きちが》ひのやうになつて怒《おこ》りだしました。鯰《なまづ》の子《こ》をうんだとおもつたのです。
遂々《とう/\》、變《かわ》りにかわつて、足《あし》ができ、しつぽが切《き》れて、小《ちひ》さいけれど立派《りつぱ》な蛙《かへる》になりました。男蛙《をとこかへる》はしみじみとその子《こ》を眺《なが》めて、なあんだ、どんなに偉《えら》い奴《やつ》がうまれるかと思《おも》つたら、やつぱり普通《あたりまへ》の蛙《かへる》かと、ぶつぶつ愚痴《ぐち》をこぼしました。
(「おとぎの世界」募集[#「募集」は底本では「募募」と誤記]童謠より)
風
「なんてけち[
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