》かうとしてゐたので、一つはしばらく先生《せんせい》にもお目《め》に懸《かゝ》れまいと思《おも》つて。ああ、お孃《じやう》さんをみる、それが、而《しか》も最後《さいご》にならうとは!

あはれ白百合《しらゆり》
谿《たに》の百合《ゆり》
まだ露《つゆ》ながら、かつくりと
しほれて
頸《くび》を垂《た》れました

處女《をとめ》は
めされてゆきました
アイア
ポペイア
そして天國《みくに》へゆきました

 先生《せんせい》は奥樣《おくさま》と、夜晝《よるひる》、病床《ベツド》の側《そば》を離《はな》れませんでした。そして身《み》を碎《くだ》いて看護《かんご》をなされました。先生《せんせい》は「自分《じぶん》にかはれるものならば喜《よろこ》んで代《かは》つてやりたい」と沁々《しみ/″\》、その時《とき》、わたしに言《ゆ》はれました。それを聽《き》いた刹那《せつな》のわたしは、その神樣《かみさま》のやうなことを仰《おつしや》る先生《せんせい》を、心《こゝろ》の中《なか》で、手《て》をあはせて拜《をが》んでゐました。
 子《こ》をおもふ此《こ》の尊《たふと》い親心《おやごゝろ》! 親《おや》に
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