こ》どものやうに可愛《かあい》がつてをりました。
鸚鵡《あふむ》が人間《にんげん》の口眞擬《くちまね》をするのは、どなたもよくしつてをります。
誰《だれ》か
「お早《はや》う」といへば、鳥《とり》もまた
「おはやう」と言《い》ひます。
それから夜《よる》になつて灯《あかり》が點《つ》いて「おやすみなさい」ときくと、おなじやうに
「おやすみなさい」と喋舌《しゃべ》ります。
ほんとに鸚鵡《あふむ》は愛嬌者《あいきやうもの》です。
そこの家《いへ》にお客樣《きやくさま》がきました。すると鸚鵡《あふむ》が
「あんたは白瓜《しろうり》一|本《ぽん》、それつきり」といひました。お客樣《きやくさま》が
「え」と聽《き》きかへすと
「妾《わたし》はそれでも反物《たんもの》三|反《だん》」
何《なに》が何《なん》だかさつぱり解《わか》りません。そこへお茶《ちや》を持《も》つてでてきたお上《かみ》さんにそのことを話《はな》すと
「ええ、昨晩《ゆうべ》、盗賊《どろぼう》にとられた物《もの》のことを言《ゆ》つてるのでせう」
お客樣《きやくさま》がかへると
「お前《まえ》は、何《なん》て馬鹿《ばか
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