》だらう。うつかり秘密話《ないしよばなし》もできやしない」と、大《たい》へん叱《しか》られました。鸚鵡《あふむ》は叱《しか》られてどぎまぎしました。多分《たぶん》、口《くち》まねが拙手《へた》なので、だらうとおもひまして、それからと言《い》ふものは滅茶苦茶《めちやくちや》にしやべり續《つゞ》けました。叱《しか》られれば叱《しか》られるほどしやべりました。
「ええ、ゆふべ、泥棒《どろぼう》……何《なん》て馬鹿《ばか》だろ……白瓜《しろうり》一|本《ぽん》、反物《たんもの》三だん……うつかり秘密話《ないしよばなし》もできやしない」
 夫婦《ふうふ》は困《こま》つてしまひました。そして、鳥屋《とりや》へもつて行《い》つて賣《う》りました、けれどそれが運《うん》の盡《つ》きでした。その嘴《くち》からの言葉《ことば》で、とうとう二人《ふたり》は捕《つかま》つて、暗《くら》い暗《くら》い牢獄《ろうごく》のなかへ投《な》げこまれました。


 土鼠の死

 土鼠《もぐら》が土《つち》の中《なか》をもくもく掘《ほ》つて行《ゆ》きますと、こつりと鼻頭《はながしら》を打《ぶ》ツつけました。うまいぞ。それが
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