いろど》つた眞夏《まなつ》のその壯麗《そうれい》なる夕照《ゆうせふ》に對《たい》してこころゆくまで、銀鈴《ぎんれい》の聲《こゑ》を振《ふ》りしぼつて唄《うた》ひつづけた獨唱《ソロ》の名手《めいしゅ》、天《そら》飛《と》ぶ鳥《とり》も翼《はね》をとどめてその耳《みゝ》を傾《かたむ》けた、ああ、これがかの夕日《ゆうひ》の森《もり》に名高《なだか》く、齢《とし》若《わか》き閨秀《をんな》樂師《がくし》のなれの果《はて》であらうとは!
母娘《おやこ》は顏《かほ》をみあはせましたが、寂《さび》しさうにその何方《どちら》からも何《なん》とも言《ゆ》はず、そして※[#「※」は「虫へん+車」、34−4]《かな/\》のうしろ姿《すがた》がすつかり見《み》えなくなると、またせつせと側目《わきめ》もふらずに織《を》り出《だ》しました。
「ギーイコ、バツタリ」
「ギツチヨン。ギツチヨン」[#「ギツチヨン」」は底本では「ギツチチン」」と誤記]
鸚鵡
あるところに手《て》くせ[#「くせ」に傍点]の惡《わる》い夫婦《ふうふ》がありました。それでも子《こ》どもがないので、一|羽《は》の鸚鵡《あふむ》を子《
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