枯尾花
関根黙庵

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)北千住《きたせんじゅう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)或《ある》時|素人連《しろうとれん》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1−92−56]
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◎北千住《きたせんじゅう》に今も有る何《な》んとか云う小間物屋の以前《もと》の営業《しょうばい》は寄席であったが、亭主が或る娼妓《しょうぎ》に精神《うつつ》をぬかし、子まである本妻を虐待《ぎゃくたい》して死に至らしめた、その怨念が残ったのか、それからと云うものはこの家に奇《あや》しい事が度々《たびたび》あって驚《おど》ろかされた芸人も却々《なかなか》多いとの事であるが、或《ある》時|素人連《しろうとれん》の女芝居を興行した際、座頭《ざがしら》の某《ぼう》が急に腹痛を起《おこ》し、雪隠《せっちん》へはいっているとも知らず、席亭《せきてい》の主人が便所へ出掛けて行く、中の役者が戸を明《あけ》て
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