闥の響
北村四海
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)巴里《パリー》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二|間《けん》
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私が巴里《パリー》に居た時、一時、リャンコルン街の五十番に家を借りていた事がある、この家屋は四階建で、私の居たのもこの四階の上であった、すると隣家《となり》に十二ばかりの女の子を上に八歳《やつ》ばかりと五歳《いつつ》ばかりの男の子が居た。父親というのは、何の職務をしていたのか、自分は、終《つい》ぞ家人に訊ねた事もなく、如何《どう》も解らなかったが、毎日早朝から丁度《ちょうど》巡査の様な服装をして、出て行って、夜に入《はい》って帰って来るので、自分が其処《そこ》に居たのも三月《みつき》ばかりの間だったが、一度も談話《はなし》した事もなく、ただ一寸《ちょいと》挨拶をするくらいに止まっていた、がその三人の子供が、如何《いか》にも可愛《かあゆ》いので、元来が児好《こず》きの私の事だから、早速《さっそく》御馴染《おなじみ》に成《な》って、ちょいちょい遊びにやってくる、私も仕事の相間《あいま》の退窟《たいくつ》わすれに、少な
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