が痛いから、まづ間にあへばよろしいといふところ。五荷の荷物だと、油単をかけた箪笥二つ、長持一つ、吊台二つである。長持には夫婦揃の夏冬の夜具、座ぶとん、夫婦用座ぶとん、夫婦用と客用の枕、蚊帳、たんぜん二人分が入れられる。吊台には机、本箱、鏡台、姿見、針箱、くけ台、衣桁、下駄箱、えもん竹、日がさ、雨傘、洗面器、物さし、裁ち板、張板、火のし、鏝、たらひ二つ(重なるように大小の物)、めざまし時計、大小のお重箱、硯ばこ、そろばん、膳椀、茶椀、湯のみ、お勝手用皿の大小、手あぶり火鉢二個(長火鉢は花婿の家で買つたのではなかつたかしら、今思ひ出せない)このほかカバンと行李もある。これだけだと一つの吊台にはのせきれないから、もう一つの方の台にはみ出すかもしれない。しかしそちらの吊台には、松竹梅のかざりのついたお祝ひ品が山のやうに戴せられるから、そちらも一ぱいになる。二つの吊台にこれだけ戴せるのは中々な骨折である。衣類をすこし余計持つてゐる娘はとても二つの箪笥では入れきれないから、不断着の箪笥をあとから送ることもある。当日の荷物に箪笥の数を多くすれば、五|荷《か》では間に合はず七荷になるから、それだけかつ
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