花より雨に
永井荷風
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)連翹《れんげう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)又|来《く》べき
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)まばら[#「まばら」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔Il pleure dans mon coe&ur〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://www.aozora.gr.jp/accent_separation.html
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しづかな山の手の古庭に、春の花は支那の詩人が春風二十四番と数へたやう、梅、連翹《れんげう》、桃、木蘭、藤、山吹、牡丹、芍薬《しやくやく》と順々に咲いては散つて行つた。
明い日の光の中に燃えては消えて行くさま/″\な色彩の変転は、黙つて淋しく打眺める自分の胸に悲しい恋物語の極めて美しい一章々々を読み行くやうな軟かい悲哀を伝へる。
われの悲し
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