手品
佐左木俊郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)廻《まわ》る。
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)山|襞《ひだ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》った。
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口上
雪深い東北の山|襞《ひだ》の中の村落にも、正月は福寿草のように、何かしら明るい影を持って終始する。貧しい生活ながら、季節の行事としての、古風な慣習を伝えて、そこに僅かに明るい光の射すのを待ち望んでいるのである。併し、これらの古風な伝習も、そんなにもう長くは続かないであろう。
それらの古風な慣習の一つに「チャセゴ」というのがある。正月の十五日の晩には、吹雪でない限り子供は子供達で、また大人は大人達で、チャセゴ[#「チャセゴ」に傍点]に廻《まわ》る。子供達は、宵《よい》のうちから、一団の群雀《むらすずめ》のように、部落内の軒から軒を(アキ[#「アキ」に傍点]の方からチャセゴに参った。)と怒鳴って廻《まわ
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