て、ふらふらと歩いていった。敬二郎は※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《もが》くようにして悶《もだ》え悩みながらただその後を追うだけで、もはや機械のようにして動いている紀久子を抱き止めようとはしなかった。
3
紀久子はそして、無感情な機械人間のように吾助茶屋の中へふらふらと入っていった。
「おっ! 紀久ちゃんか? 来たね」
正勝がぐっと立ち上がって言った。
「お嬢さまですか? 暗いところをよくまあ。炉のほうへ、さあ寄ってくだせえ」
開墾地の喜代治が頭を下げながら言った。しかし、紀久子はそれには答えずに、魂の脱殼のようにただふらふらと正勝のほうへ寄っていった。開墾地の四、五人ばかりの目は、驚異の表情をもっていっせいにその姿を追った。
「紀久ちゃん! 一緒に飲もう」
正勝は大きな椀《わん》に酒を注《つ》いで紀久子のほうへぐっと差し出した。紀久子はすると、無表情のままでひと息に飲んだ。正勝も怪訝そうな顔表情を含んで、じっと紀久子を見た。
「紀久ちゃん! 一緒に踊ろうか?」
正勝はそう言うなり紀久子の肩に手をかけて、足を上げ手を振りながら踊りだした。開墾
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