の目を紀久子のほうへ移した。
「紀久ちゃん! 残ってる分を、喜代治さんらに上げてもいいだろう?」
「正勝ちゃんのいいようにしたらいいわ」
 紀久子は顔を上げて、微笑を含みながら言った。
「それじゃ……」
 正勝はそう言って、残っている紙幣を五枚ずつ数えて、鼻紙でもやるようにして彼らに渡した。
「正勝さん! おれらは死んでもあなたのことは忘れませんよ」
「そんなことはまあいいから、飲もうじゃないか?」
「あなたがお嬢さまと一緒になって森谷さまの旦那さまになられたら、おれらは自分の生命《いのち》を投げ出してもあなたのためになるようなことをいたしますよ」
「飲もうじゃないか。紀久ちゃん! あんたも飲めよ」
 正勝はそう言って紀久子にも盃を渡した。紀久子は微笑を含んで素直に盃を取った。開墾地の人たちはまたじっと驚きの目でそれを見た。紀久子はぐびりと盃を干した。
「わたしもう、これで帰ってもいいでしょ?」
 紀久子は盃を置きながら言った。
「一緒に帰るから待てよ」
「平吾が外で待っているのよ」
「それじゃ、すぐ帰ろうか? 紀久ちゃん! いまここでみんなの踊りを見せてもらったんだがね。紀久ちゃんも
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