げ終わり]
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七三 凡事有[#二]眞是非[#一]、有[#二]假是非[#一]。假是非、謂[#三]通俗之所[#二]可否[#一]。年少未[#レ]學、而先了[#二]假是非[#一]、※[#「二点しんにょう+台」、第3水準1−92−53][#レ]後欲[#レ]得[#二]眞是非[#一]、亦不[#レ]易[#レ]入。所[#レ]謂先入爲[#レ]主、不[#レ]可[#二]如何[#一]耳。
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〔譯〕凡そ事に眞是非《しんぜひ》有り、假是非《かぜひ》有り。假是非とは、通俗《つうぞく》の可否する所を謂ふ。年|少《わか》く未だ學ばずして、先づ假是非を了《れう》し、後に※[#「二点しんにょう+台」、第3水準1−92−53]《およ》んで眞是非を得んと欲するも、亦入り易《やす》からず。謂はゆる先入《せんにふ》主《しゆ》と爲《な》り、如何ともす可らざるのみ。
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七四 果斷、有[#二]自[#レ]義來者[#一]。有[#二]自[#レ]智來者[#一]。有[#二]自[#レ]勇來者[#一]。有[#下]并[#二]義與[#一レ]智而來者[#上]、上也。徒勇而已者殆矣。
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〔譯〕果斷《くわだん》は、義《ぎ》より來るもの有り。智《ち》より來るもの有り。勇《ゆう》より來るもの有り。義と智とを併《あは》せて來るもの有り、上《じやう》なり。徒《たゞ》に勇《ゆう》のみなるは殆《あやふ》し。
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〔評〕關八州《くわんはつしう》は古より武を用ふるの地と稱す。興世《おきよ》王|反逆《はんぎやく》すと雖、猶|將門《まさかど》に説いて之に據《よ》らしむ。小田原の役《えき》、豐《ほう》公は徳川公に謂うて曰ふ、東方に地あり、江戸《えど》と曰ふ、以て都府《とふ》を開く可しと。一新《いつしん》の始《はじ》め、大久保公|遷都《せんと》の議《ぎ》を獻《けん》じて曰ふ、官軍已に勝《か》つと雖、東賊《とうぞく》猶未だ滅《ほろ》びず、宜しく非常《ひじやう》の斷《だん》を以て非常の事を行ふべしと。先見の明|智《ち》と謂ふ可し。
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七五 公私在[#レ]事、又在[#レ]情。事公而情私者有[#レ]之。事私而情公者有[#レ]之。爲[#レ]政者、宜[#下]權[#二]衡人情事理輕重處[#一]、以用[#中]其中於[#上レ]民。
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〔譯〕公私《こうし》は事に在り、又情に在り。事公にして情私なるもの之有り。事私にして情公なるもの之有り。政を爲す者は、宜しく人情|事理《じり》輕重《けいぢゆう》の處を權衡《けんかう》して、以て其の中《ちゆう》を民に用ふべし。
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〔評〕南洲城山に據《よ》る。官軍|柵《さく》を植《う》ゑて之を守る。山縣《やまがた》中將書を南洲に寄せて兩軍|殺傷《さつしやう》の慘《さん》を極言《きよくげん》す。南洲其の書を見て曰ふ、我れ山縣に負《そむ》かずと、斷然《だんぜん》死に就《つ》けり。中將は南洲の元《げん》を視《み》て曰ふ、惜《を》しいかな、天下の一勇將を失へりと、流涕《りうてい》すること之を久しうせり。噫《あゝ》公私情盡せり。
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七六 愼獨工夫、當[#下]如[#三]身在[#二]稠人廣座中[#一]一般[#上]。應酬工夫、當[#下]如[#二]間居獨處時[#一]一般[#上]。
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〔譯〕愼獨《しんどく》の工夫《くふう》は、當《まさ》に身|稠人《ちうじん》廣座《くわうざ》の中に在るが如く一|般《ぱん》なるべし。應酬《おうしう》の工夫は、當《まさ》に間居《かんきよ》獨處《どくしよ》の時の如く一般なるべし。
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七七 心要[#二]現在[#一]。事未[#レ]來、不[#レ]可[#レ]邀。事已往、不[#レ]可[#レ]追。纔追纔邀、便是放心。
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〔譯〕心は現在《げんざい》せんことを要《えう》す。事未だ來らずば、邀《むか》ふ可らず。事已に往《ゆ》かば、追《お》ふ可らず。纔《わづ》かに追ひ纔かに邀へば、便《すなは》ち是れ放心《はうしん》なり。
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七八 物集[#二]於其所[#一レ]好、人也。事赴[#二]於所[#一レ]不[#レ]期、天也。
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