八 知是行之主宰、乾道也。行是知之流行、坤道也。合以成[#二]體躯[#一]。則知行、是二而一、一而二。
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〔譯〕知《ち》は是れ行《かう》の主宰《しゆさい》なり、乾道《けんだう》なり。行は是れ知の流行《りうかう》なり、坤道《こんだう》なり。合して以て體躯《たいく》を成す。則ち知行は是れ二にして一、一にして二なり。
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三九 學貴[#二]自得[#一]。人徒以[#レ]目讀[#二]有字之書[#一]、故局[#二]於字[#一]、不[#レ]得[#二]通透[#一]。當[#三]以[#レ]心讀[#二]無字之書[#一]、乃洞而有[#二]自得[#一]。
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〔譯〕學《がく》は自得《じとく》を貴《たふと》ぶ。人|徒《いたづら》に目を以て有字の書を讀む、故に字に局《きよく》し、通透《つうとう》することを得ず。當《まさ》に心を以て無字の書を讀むべし、乃ち洞《とう》して自得するところ有らん。
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四〇 孟子以[#二]讀書[#一]爲[#二]尚友[#一]。故讀[#二]經籍[#一]、即是聽[#二]嚴師父兄之訓[#一]也。讀[#二]史子[#一]、亦即與[#二]明君賢相英雄豪傑[#一]相周旋也。其可[#レ]不[#下]清[#二]明其心[#一]以對[#中]越之[#上]乎。
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〔譯〕孟子讀書を以て尚友《しやういう》と爲す。故に經籍《けいせき》を讀む、即ち是れ嚴師《げんし》父兄の訓を聽くなり。史子《しゝ》を讀む、亦即ち明君賢相英雄豪傑と相|周旋《しうせん》するなり。其れ其の心を清明にして以て之に對越《たいえつ》せざる可けんや。
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四一 爲[#レ]學緊要、在[#二]心一字[#一]。把[#レ]心以治[#レ]心、謂[#二]之聖學[#一]。爲[#レ]政著眼、在[#二]情一字[#一]。循[#レ]情以治[#レ]情、謂[#二]之王道[#一]。王道聖學非[#レ]二。
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〔譯〕學を爲すの緊要《きんえう》は心の一字に在り。心を把《と》つて以て心を治む、之を聖學と謂ふ。政を爲すの着眼《ちやくがん》は情の一字に在り。情に循《したが》うて以て情を治む、之を王道と謂ふ。王道と聖學と二に非ず。
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〔評〕兵を治《ち》して對抗《たいかう》し、互に勝敗《しようはい》あり。兵士或は負傷《ふしやう》者の状《じやう》を爲す、醫《い》故に之を診察《しんさつ》す。兵士初め負傷者とならんことを惡む。一日、聖上《せいじやう》親臨《しんりん》して負傷者を撫《ぶ》し、恩言《おんげん》を賜《たま》ふ、此より兵士負傷者とならんことを願ふ。是に由つて之を觀れば、兵を馭《ぎよ》するも亦情に外ならざるなり。
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四二 發[#レ]憤忘[#レ]食、志氣如[#レ]是。樂以忘[#レ]憂、心體如[#レ]是。不[#レ]知[#二]老之將[#一レ]至、知[#レ]命樂[#レ]天如[#レ]是。聖人與[#レ]人不[#レ]同、又與[#レ]人不[#レ]異。
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〔譯〕憤《いきどほり》を發して食を忘《わす》る、志氣《しき》是《かく》の如し。樂《たのし》んで以て憂《うれひ》を忘る、心體《しんたい》是の如し。老《らう》の將に至らんとするを知らず、命《めい》を知り天を樂しむもの是《かく》の如し。聖人は人と同じからず、又人と異《こと》ならず。
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四三 講[#二]説聖賢[#一]、而不[#レ]能[#レ]躬[#レ]之、謂[#二]之口頭聖賢[#一]、吾聞[#レ]之一※[#「りっしんべん+易」、第3水準1−84−53]然。論[#二]辯道學[#一]、而不[#レ]能[#レ]體[#レ]之、謂[#二]之紙上道學[#一]、吾聞[#レ]之再※[#「りっしんべん+易」、第3水準1−84−53]然。
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〔譯〕聖賢を講説《かうせつ》して之を躬《み》にする能はず、之を口頭《こうとう》聖賢と謂ふ、吾れ之を聞いて一たび※[#「りっしんべん+易」、第3水準1−84−53]然《てきぜん》たり。道學を論辯《ろんべん》して之を體《たい》する能はず、之を紙上道學と謂ふ、吾れ之を聞いて再び※[#「りっしんべん+易」、第3水準1−84−53]然《てきぜん》たり。
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