レ]天之室也。精氣之爲[#レ]物也、天寓[#二]於此室[#一]。遊魂之爲[#レ]變也、天離[#二]於此室[#一]。死之後即生之前、生之前即死之後。而吾性之所[#二]以爲[#一レ]性者、恒在[#二]於死生之外[#一]、吾何畏焉。夫晝夜一理、幽明一理。原[#レ]始反[#レ]終、知[#二]死生之理[#一]、何其易簡而明白也。吾人當[#下]以[#二]此理[#一]自省[#上]焉。
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〔譯〕生物は皆死を畏《おそ》る。人は其|靈《れい》なり、當に死を畏るゝの中より死を畏れざるの理を揀出《けんしゆつ》すべし。吾れ思ふ、我が身は天物なり。死生の權《けん》は天に在り、當に之を順受《じゆんじゆ》すべし。我れの生るゝや自然にして生る、生るゝ時未だ嘗て喜《よろこ》ぶことを知らず。則ち我の死するや應《まさ》に亦自然にして死し、死する時未だ嘗て悲むことを知らざるべし。天之を生みて、天之を死《ころ》す、一に天に聽《まか》さんのみ、吾れ何ぞ畏れん。吾が性は即ち天なり、躯殼《くかく》は則ち天を藏《おさ》むるの室なり。精氣《せいき》の物と爲るや、天此の室に寓《ぐう》す。遊魂《いうこん》の變《へん》を爲すや、天此の室を離《はな》る。死の後は即ち生の前なり、生の前は即ち死の後なり。而て吾が性の性たる所以は、恒《つね》に死生の外に在り、吾れ何ぞ畏れん。夫れ晝夜は一|理《り》なり、幽明《いうめい》は一理なり。始めを原《たづ》ねて終《をは》りに反《かへ》らば、死生の理を知る、何ぞ其の易簡《いかん》にして明白なるや。吾人は當に此の理を以て自省《じせう》すべし。
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二一 畏[#レ]死者生後之情也、有[#二]躯殼[#一]而後有[#二]是情[#一]。不[#レ]畏[#レ]死者生前之性也、離[#二]躯殼[#一]而始見[#二]是性[#一]。人須[#レ]自[#二]得不[#レ]畏[#レ]死之理於畏[#レ]死之中[#一]、庶[#二]乎復[#一レ]性焉。
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〔譯〕死を畏るゝは生後の情なり、躯殼《くかく》有つて後に是《こ》の情あり。死を畏れざるは生前の性なり、躯殼《くかく》を離《はな》れて始て是の性を見る。人は須《すべか》らく死を畏れざるの理を死を畏るゝの中に自得《じとく》すべし、性
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