大騷ぎの事に御座候半、想像仕に尚|餘《あまり》有る事に御座候。御祖母樣如何|計《ばかり》之御驚嘆と、是|而已《のみ》|案勞《あんらう》仕候儀に御座候。京師邊にも一揆相起候由、いづれ天下之大亂近きに候半、可[#レ]恐世上罷成候事に御座候。當島におひても、若哉《もしや》異國船共參申候はゞ、君臣之節不[#二]相失[#一]處迄は相盡|賦《つもり》にて、政照|抔《など》至極之決心にて、外兩人義民|相募《あひつのり》、三人は必至に罷成居申候間、是等の事ども樂しみにて相暮居候事に御座候。書物讀み弟子二十人計に相成、至極の繁榮《はんえい》にて、鳥なき里《さと》の蝙蝠《かうもり》とやらにて、朝から晝迄は素讀《そどく》、夜は講釋|共《ども》仕而、學者之|鹽梅《あんばい》にて獨《ひとり》笑《をか》しく御座候。乍[#レ]然學問は獄中之御蔭にて上り申候、御一笑可[#レ]被[#二]成下[#一]候。手|拭《ぬぐひ》年頭之祝儀に段々|貰《もらひ》申候間、御祖母樣え[#「え」は底本では変体仮名「江」]進上仕候間、御笑納可[#レ]被[#二]成下[#一]候、此旨荒々御祝儀迄如[#レ]此御座候。恐惶謹言。
正月二十日[#
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