必要だ。學問は活《い》きた學問でなくてはならぬ。其れには京都に春日と云ふ陽明學者がある、其處に行つて活きた實用の學問をせよと。

     私學校|綱領《かうりやう》

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一 道を同《おなじう》し義相|協《かな》ふを以て暗《あん》に集合せり、故に此理を益|研究《けんきう》して、道義に於ては一身を不[#レ]顧[#(ミ)]、必ず踏《ふみ》行ふべき事。
一 王を尊び民を憐《あはれ》むは學問の本旨。然らば此天理を極め、人民の義務にのぞみては一向《ひたすら》難《なん》に當り、一同の義を可[#(キ)][#レ]立[#(ツ)]事。
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(按)翁の鹿兒島に歸るや、自分の賞典祿を費用に當てゝ學校を城山の麓《ふもと》なる舊|廐《うまや》跡に建て、分校を各所に設け專ら士氣振興を謀れり、右綱領は此時學校に與へたるものなり。
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底本:「西郷南洲遺訓」岩波文庫、岩波書店
   1939(昭和14)年2月2日第1刷発行
   1985(昭和60)年2月20日第26刷発行
底本の親本:「絶島の南洲」内外出版
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